たまたまの出会いがビジネスのチャンス、ビジネスネットワークたまたま会

たまたま会談> Vol.09 Vol.08 Vol.07 Vol.06 Vol.05 Vol.04 Vol.03 Vol.02 

たまたま会談Vol.07

〜営業創造株式会社(BCC) 伊藤 一彦さん〜 (1/2)

大手IT企業さんだけではなく、いわゆるITベンチャー企業さんまで営業支援していけるような会社になっていきたいと思っています。

IT営業の存在価値を高めたい思いで、自ら起業

玉谷伊藤さんは、大阪市立大学を卒業して、NECでいわゆるコンピューター営業をされていたとのこと。実際にはどんな仕事をされてたんですか?

伊藤基本的にはベタな営業ですね。NECの営業は大手企業を担当して、そこに毎日足しげく通って、電話が古くなったら電話を交換しませんか、パソコンが古くなったらパソコンを交換しませんかと話を持っていく、という。で、5年に1回は基幹系の入れ替えで、何千万の商談がありまして。それまでの間、これ最近の流行りですよと、雑誌の切り抜きを持って行ったり、何かが壊れたら怒られ、謝ってすぐ持って行くという、地道な地道な……。

玉谷あんまり面白くはなかったですか?

伊藤 一彦

伊藤面白かったのは面白かったです。ただ当時感じたのは、ITの営業は大変だという事実と、こんなに大変なのにあまりに評価されていないということ。営業なんて、開発者にとってもお客さんからしても小間使いのようなイメージです。 でも本当は、ITの営業はお客さんより早く最先端のITのことを分かってないといけないし、お客さんの目に見えない要望もしっかりとつかんでいないとダメなんです。お客さんも当然ITに詳しいとは言え、僕らよりは知らないので。

玉谷お客さんも気付かない、潜在している問題を顕在化してあげないといけないと。そういうのは難しいですよね。

伊藤にも関わらず、全然誰からも評価されない。それが歯がゆくて。これは何とかしないといけないと思って作ったのが、この会社なんです。

玉谷ITの営業をしっかり育てて、派遣するという。お若いのに独立されたのは、「人の育ちにくさ」にニーズがあったんですね。

伊藤はい。IT業界はエンジニアとかSEを育てる会社や学校はたくさんあるんですが、ITの営業を育てる会社や学校は無かったんです。

玉谷なるほど。よく聞くとすごいですね、そういった着眼点を行動に移すというのは。

伊藤新卒でNECに入る子達は、NECというブランドに憧れて入ってくるので、そういったベタな営業が苦手な子が多いんですよね。飛び込み営業とか怖くてできないんです。電話をして営業のアポをとるなんて。 その点、弊社はもともと代理店事業からスタートしてますから、新入社員は最初、代理店事業で一日100件ぐらい電話して、新規でアポイントをとって訪問してものを売るという、新規営業部隊でまずトレーニングします。電話帳を見て電話して、アポをとって、ものを売るのが当たり前、という意識を育ててから派遣します。

玉谷それは、どんな人でもそんな環境に置かれるとできるようになるんですか?

伊藤できますね。みんなが当たり前のようにやっている中に放り込むので、やってない方が不思議になるんです。かたや、僕はNECの新人時代は大変浮いてました。僕がいきなりガンガン電話でアポとると、みんな変な目で見るんですね。

玉谷それは伊藤さんの持って生まれたものなんですか?

伊藤いえ、学生の時のアルバイトが、たまたま家庭教師の営業で。毎晩電話してアポとって、家庭にいって体験学習をして6万円もらうという訪問系のアルバイトを、学生のときにやっていたんです。
それでNEC新人時代、販売店へ派遣されて、販売店でアポ取りを代わりにやったりしていました。ITのことは全然分かってなかったんですけど。
実は私自身、仕事をするまでパソコンに触ったこともなかったんですよ。NECに入って初めて買ったくらいです。
新人社員だった頃、NECに入ったらパソコンはもらえると思っていたのにもらえず、安く買えないんですかと聞いたら、「NEC本体は法人向けの商売しかやってないから、欲しけりゃ日本橋に行って勝手に買ってこい」と(笑)。
仕方ないので日本橋に行って、NECのパソコンを買おうとしたら、日本橋の店の人がうまいこと言うんです。それで、いくつも店をまわって営業トークを集めて、それで法人に営業に行ったら、よく売れたんですよ。

玉谷やっぱり天性ですね。そういう環境もあったかもしれないですが。逆に、NECさんはそういうことをしてなかかったんですね?

伊藤 一彦

伊藤NECは、お客さんから聞かれたことに正しく答えるのが大切、というような考えがメーカーとしてベースにあるので、日本橋の店員みたいに上手いトークもしないんですね。僕はこっちのほうが面白いなと思って。

玉谷NECを辞めるという決断は、すごく大変だったんじゃないですか?

伊藤実は入社する時から、将来は独立すると、3年たったら僕はやめますと言って面接も受けさせてもらったんですよ。それでも採ってくれたNECさんはほんとに太っ腹だと思います。

玉谷もともと事業意欲があったんですね。それで独立されたのが2002年。変な話ですけど順調でしたか?

伊藤とんでもない。最初の2002年から、3回ぐらい電車に飛び込もうかなと思いました。
会社は2002年の3月に設立しました。はじめからそれなりの規模で会社を作りたいと思ったので、最初親兄弟や、結婚したての嫁、いろんなところからお金を借りて、1000万をようやく積み上げたんですが、3か月で無くなっていました。

社員の頑張りと信頼関係に救われて、危機を乗り越える

玉谷減るときは早いでしょう。特に起業した最初は、いろんなものが絶対必要だと思ってお金を使いますから。

伊藤どんどんお金がなくなって、そこで初めてこれでは倒産すると思いました。とりあえずお金を借りるために、国民生活金融公庫、今の日本政策金融公庫さんの「創業支援融資」というのを見つけました。でも、そこで連帯保証人を立ててくれと言われて、パッと思いついたのが父親。ところが父は代々商売をしていましたので、私も子供のころから「人の連帯保証人にはなるな」と言われていたんです。それに、もともと父は私に「商売なんかやるな、公務員になれ」という人だったので、NECをやめる時も大反対でしたし、独立なんてもってのほかです。そこに、保証人になってくれなんて(笑)。

玉谷そうでしょうね(笑)。

伊藤しかたがないので、国民生活公庫の担当者の方に、「すいません、うちの親父のところに電話してください」と頼んで、電話してもらいました(笑)。

玉谷え〜!?

伊藤父へ、「このままでは息子さんの会社、倒産しますけど……」という雰囲気で電話してもらって、しぶしぶ連帯保証人になってもらって。それで国金さんでお金を借りて、1回目の倒産の危機を乗り越えました。
2回目はちょっと賢くなりまして、このお金もまたすぐ無くなるだろうと思って、とりあえず大阪府と市の保証協会に500万円ずつ申請を出して、2回目の危機を乗り越えました。
3回目がいちばん苦しかったですね。2002年の年末で、手元のお金と会社のお金、合わせて10万円ぐらいしかありませんでした。かたや借金が全部で3000万ぐらい。そんなバランスの2002年の年末でした。
たぶん当時、間違いなく病んでる状態でした。今も地下鉄で通ってるんですが、プラットホームの前のほうへ行くと、気が緩んでそのまま飛び込んでしまうから、なるべく後ろの方にいました。今でこそ笑って言えますけど、当時は真剣でした。

玉谷やっぱり事業を起こすというのは、そんな思いをするということなんですよね。それでも好転したのは、何がきっかけですか。

伊藤好転したのは、2003年に入ってからです。当時はソニーさんのビットドライブという商品を販売して、販売手数料をいただく商売をしていたんですが、入るお金が払うお金よりも少しずつ上回っていった、というのが好転のきっかけではあります。
でも結局、しんどいながらも続けられたのは、目の前で一生懸命頑張っている社員がいてくれたからですね。私のことを信じて社員が入社してきてくれて、毎日電話して、毎日訪問して、営業活動を頑張ってくれてました。
当時のメンバーが今も一緒に頑張ってくれていますが、彼らが「今日受注をとってこれないと明日はない」みたいなことをみんなの前で言ってくれるんです。お金が苦しいなんて言うと社員が辞めてしまうんじゃないかという不安があったので、絶対に言いませんし、そんな顔も見せたことないのに。

伊藤 一彦

玉谷伝わるんでしょうね、そういう真剣さが。

伊藤やっぱり、ここで逃げたらだめだなと思いました。それが結局好転したきっかけというか、好転するまで我慢できた理由でしょうか。

玉谷そういうなかでアルファクリエイト(以下AC)さんとコラボが始まったわけですか?

伊藤ACさんとはNEC時代からお付き合いさせてもらっていたんですが、独立後に改めて一緒に何かをしたのは、ベンチャーキャピタルさんに出資していただいた時です。
当時は少しずつ事業が好転し始めたころで、苦労しながらも3年やって累積でも黒字にできて、代理店事業としてはひと通り成功したので、次のステップとして、今の営業の派遣事業を始めようということになりました。
ただこれには原資がいるので、ベンチャーキャピタルさんからご出資をいただいて、2005年の初めに最初の5000万円のご投資を受けました。そうすると当然のことながら、人を集めるためにブランディングが必要になったんです。
とりあえず弊社のホームページをなんとかしようと、改めてACさんにお願いすることになったのが、弊社とACさんが今のようにお付き合いする始まりです。

玉谷なるほど。そういう経緯で、HP等の話やバランス・スコアカードの本のデザイン等をACさんが。

伊藤まさに弊社1つ目の事業が代理店事業、2つ目が営業派遣、3つ目がバランス・スコアカードです。うちの社に導入して、非常に良いものなので、本やDVDを作ってもっと世に広めたいと考えたんです。

次のページへ >
ページトップへ

<今回の会談相手>

営業創造株式会社(BCC)
代表取締役
伊藤 一彦さん
伊藤 一彦


営業創造株式会社(BCC)

■本社
大阪市西区京町堀1丁目8番5号
明星ビル12階

■設立
2002年(平成14年)3月6日

■資本金
1億5,800万円
(資本準備金4,500万円含む)

■従業員数
46名(2011年7月1日現在)